[サッカー]

呪いの横断幕 / 2011-09-30 (金)

 アジアチャンピオンズリーグで9月27日にC大阪をホームで迎えた韓国のサポーターが『日本の大地震をお祝います』という横断幕を掲げた問題で、韓国の全北現代モータースが公式サイトに謝罪文を掲載したという。その内容は報道によると「失意にくれる日本国民とサッカーファンに、深い謝罪の言葉を伝えます」「一部ファンのかんばしくない行動により物議をかもした件で、全北現代を愛し、サッカーを愛するファンたちに謝罪申し上げます」との文言がハングルで書かれているらしい。これに対し、私の周辺では「謝罪の方向が違う!」と批判の声が上がった。

 思い起こせば、昨年のJリーグでは、浦和のサポがFC東京との試合でFC東京がJ2への降格線上にいることを揶揄した横断幕を掲げて物議を醸した。『祝!!J2東京ダービー開催!』がそれである。その呪いの効果はてきめんに現れて、FC東京は最終節で順位を落とし、ほんとうにJ2へ降格になってしまった。

 では、呪いをかけた側の浦和はどうなったか。今年彼らは下位に低迷しており、残り試合の成績が芳しくなければ、去年のFC東京と同様にJ2への降格もありそうな状況である。まさしく、他人を呪わば墓の穴は二つ必要になる勘定になっているようだ。

 少々話が脱線した。たしかに全北現代の「謝罪」の仕方は奇妙である。謝罪の対象となるべきなのは日本の被災地、被災者であって、サッカーファンではないし、ましてや全北現代の関係者なんかではない。この方向違いがどこから生じるのかはわからないが、韓国の皆さんには衷心から申し述べたいことがある。それは、全北現代のフロントは心無いサポータがかけた忌まわしい呪いをきちんと解くべきである、ということだ。そうしないと、他人を呪わば穴二つで、近い将来、韓国全土が危機に陥りかねないのである。

 たかが横断幕でおおげさな、というなかれ。去年のFC東京のまさかの降格の瞬間をこの目で目撃した者には、されど横断幕なのである。最終節までFC東京の下にいた神戸が大差で勝ったというニュースが入ったちょうどそのとき、FC東京のサポが陣取るスタンドから一羽の白鷺が飛び立って、彼らを見限るかのように悠々と京極スタジアム上空を飛び去っていったのはまことに象徴的だったのだから。

 自己嫌悪に陥るのだが、サッカーサポってどうしてこうイカレたやつが多いのだろう。頭をカチ割って脳みそをつぶさに観察してみたい衝動にかられてしまうのは私だけだろうか。

(2011.9.30)