[映画、ドラマなど]

「エジソンの母」を8倍楽しむ方法 / 2008-01-28 (月)

 きょう娘に「ブログ更新しないの?」と尋ねられた。とっさに「ああ、あれはブログじゃないんだ、だからそんなに頻繁には更新しないんだよ」って答えて、そしてこう付け加えた。「それにあれには誰も言わないことだけを書くんだ」。嘘ではない。少なくともこのドラマ・アニメのカテゴリはそうだったのだ、たったさっきまでは……。つまりこれを書いている今、早くもその原則が崩壊しつつあるのである。娘のさりげない一言はかくも父親を動揺させるものであろうか。我ながら情けない。情けないが誘惑に勝てないので書いている。

 娘はTBSのドラマ「エジソンの母」について書かないのかと問うているのであろう、と思われる。「エジソンの母」はこれを書いている時点で既に3 話目が放映されているのだが、我が家では録画しておいて家族皆が揃ったときに視ているのでまだ第2話までしか視ていない。ただ予想通り視聴率は取れていない様子であり、なおかつドラマは出来がよろしい。初回から私の涙腺は決壊したし、第2話でも思わず目頭が熱くなった。テレビ番組の制作者というのは本当に気の毒な人々である。視聴率という化け物は制作者の努力や予算や情熱や技術といったものを必ずしも正しく評価してくれない。かといって手を抜いてしまえば必ず痛いしっぺがえしをくらう。こういう化け物を相手に懸命に戦う人々を私は尊敬せずにはいられない。

 話が逸れた。「エジソンの母」である。まだ2話しか視ていないので言えることが少ない。ただ一点、このドラマの見どころのひとつに役者の服装があることだけは間違いがない。1話目の出だしで伊東美咲は上下真っ黒の衣裳であった。そして婚約者に没個性を非難されてふられてしまうのである。と同時に花房少年が強烈な個性を持って登場してくるわけだが、この少年の衣裳は真っ赤なジャンパーに真っ白なマフラーである。担任教師としてこの花房少年にてこずりながら彼女は少しずつ没個性から脱却してゆく、というのがこの物語の流れであろう。だとすれば伊東美咲の真っ黒な衣裳は没個性を象徴しているので、彼女の服装は物語の進展につれて少しずつ変化するはずであり、事実、初回のラストでは両袖が茶色に変わっていた。さらに2話目でも前進と後退を繰り返しつつも基本的に黒から離れつつあった。

 さあ、予想屋の出番である。彼女の衣裳は最後は何色になるだろうか?私は伊東美咲は最後はピンクを着るだろうと思うのである。和製エジソン?の花房少年の赤と白はアンビバレンスを表している。つまり彼の強い好奇心とそれを抑えようとする世間の常識が極端に対立しているのである。教師としての役割は、彼の知的好奇心を育てつつ、ともすれば彼を排除したがる周辺の存在との融和を実現することである。したがって赤と白の混合色=ピンクが彼女の理想の色であり、それは同時に彼女自身の個性の主張になるはずなのだ。

 2話目の校長先生がどのような衣裳だったかご記憶にあるだろうか。白と赤の水玉模様の蝶ネクタイを付けていたのである。私の予想の根拠のひとつがここにもある。

 登場する役者たちがどういう場面でどういう衣裳を着ているかを注意するだけでこのドラマが数倍楽しくなることは請け合いだ。そして最後の衣裳の予想が当たるかどうかも気にしつつ、今後の展開を楽しみにしようではないか。

(2008.1.28)