[サッカー]

野津田の再改修に反対する / 2010-12-12 (日)

 2010年度のFC町田ゼルビアのホームゲームは11月21日の相模原麻溝公園競技場での開催で終了した。サポータのブログなどを拝見していると麻溝の競技場が立派で「うらやましい」と書いておいでのかたがかなりたくさんいらっしゃる。なかには密かに皮肉を込めてそう書いている方もおいでだろうし、社交辞令としてそう書いている方もおられるだろうが、総じてそういう含みのある表現をされているかたは多くはなかったように思う。しかしそういう皆さんに私は念を押してみたいのである。ほんとうにあれが羨ましいのですか、と。

 私はわがままな人間である。私はFC町田の試合をサッカー専用スタジアムで観たい。だから私が羨ましいと思うのは、柏の日立台や磐田のヤマハや清水の日本平であり、鳥取のバードや松本のアルウィンである。もちろんさいたまや鹿島や神戸もうらやましいが町田にとっては高嶺の花だ。

 私はあの麻溝のようなスタジアムならいっそのことないほうが良いと思う。あの立派な陸上競技場がゼルビアのために今できてしまったら、もう私の目の黒いうちに専用スタジアムでホームの試合をするFC町田を観ることはできないからだ。

 S.C.相模原には希望がある。相模原市にはまだ土地もありそうだし、財政も豊かだ。麻溝があるからもうサッカーのスタジアムは作れません、ということにはなるまい。1年でも早くJリーグ入りして、浦和と双璧をなすようなビッグクラブになればよいのだ。そうすれば新たに専用スタジアムも作れることだろう。

 しかし町田は違う。すでに土地がない。埋め立てられる海もないし河川敷すらない。2010年度の野津田競技場の改修費用10億円は市債を起こすことで賄った町田市だが、そんな町田市は今年度地方交付税の交付団体に転落してしまった。経済状況が厳しい中、再び不交付団体に這い上がるのはたいへん難しいと言わなければならない。

 要するに残念ではあるが町田は貧しいのだ。そんな町田がもし野津田競技場をさらに改修してスタジアム問題を解消してしまったら、その瞬間に専用スタジアムを持つという夢は宇宙の彼方に吹き飛ばされてしまうことになる。

 ほんとうにそれでよろしいのか。


 町田はサッカーの街だ、とわたしたちは云っている。そうであるならそのトップチームがホームにするスタジアムはどんなに小ぶりなものでもサッカー専用スタジアムでなければならないのではないだろうか。町田がサッカーの街でありつづけるためにはどうしても専用スタジアムが必要なのではないのか。

 もともと野津田はスポーツを「観る」ために造られた競技場ではない。あくまでもスポーツを「する」ための施設である。野津田は専用スタジアムがないから仮に使わせてもらっているに過ぎない場所なのである。野津田をJリーグ仕様に再改修することなど言語道断というべきことである。その禁忌を冒してまで陸上競技場をFC町田ゼルビアのホームスタジアムにしなければならない理由はどこにあるだろうか。禁忌を冒せば必ずや祟りがある。もっとじっくりと時間をかけて野津田以外の場所に専用スタジアムを持つことを考えなければならないはずではないのか。

 とはいえ2010年度の野津田の改修をムダにしてならない。いま私たちがするべきことは2010年度の改修がすんだ野津田を毎試合満員にすることだ。それが今回の改修で注ぎ込まれた11億円の税金をムダにしないただ一つの道である。現在行われている署名運動もそのための活動として計りしれない大きな意義がある。しかし野津田の再改修を強行してJリーグ入りを急ぐのは考えものだ。それをしてしまったら必ずやあとで後悔の臍を噛むことになるだろう。そうなってしまってからでは遅いのだ。

(2010.12.12)

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