[サッカー]

誇りの横断幕 / 2010-10-12 (火)

 これを書いている10月12日は、アウェーの日韓戦があった。おそらく多くのかたがテレビの前でエキサイトされたことと思う。WCは国と国の戦争だとか、サッカーとはボールを使った戦争だ、とかという言葉もたびたび見聞きするので、その応援をするとなると、いきおい武張ったものになりがちである。FC町田ゼルビアの場合も同様で、張り出される横断幕は「勇往邁進」とか「武相戦線」などとたいへんに勇ましい。まことにけっこうである。

 しかし最近こうしたものとはまるで趣きを異にする横断幕が出現して話題になっている。(次の写真は無断借用です)

 パチパチパチッ!よくぞやってくださった。拍手喝采したい。他に先駆けて(?)この横断幕が出されたことを町田は誇りに思ってよいのではないだろうか。

 「べ、別に町田だから応援しているんじゃないんだからね!!」というのはツンデレ語なので普通の人は解釈することができない。ではこの横断幕はなにを訴えているのだろうか。それは『おれらこんなんですけど、かまいませんよねぇ』ということなのだろうと思う。つまり少数派宣言なのだ。人は十人十色、蓼食う虫も好き好き、選手だってこの横断幕に萌えて今までよりたくさん走ったり集中力をみなぎらせたりするかもしれない、というのは冗談としても、町田のスタジアムにはいろんな価値観があっていいし、あるべきだし、現にあるからこそ、こういう横断幕を出すことができるのだ。

 ゼルビアのホームゲームは老若男女が和気藹々としていてる、アットホームな感じでなかなか好い、というのがもっぱらの評判だ。なかには「そんな生温い雰囲気じゃダメだ!」っていう向きもおられるかもしれないけど、だからといってこの横断幕を排除するようなことはしないで欲しい。

 町田のサッカーは少年サッカーから始まった。子供たちには家族がいて試合になれば家族総出で応援にいくのである。アットホームになるのは当然だ。試合後の触れ合いサッカー教室をやめたらどうなるだろうか。おそらく観客動員数は半減するに違いない。老若男女和気藹々はそういう歴史と努力によって醸し出されている雰囲気なのだ。

 確かに戦闘的な声出しサポがもっと増えてくれるといいなとは思う。しかし、いろんな人たちがゼルビアというレンズを通すと一つに焦点を結ぶというあり方、これが発展していってこそ、全市民がこぞってゼルビアを応援する体勢ができるはずなのだ。だからこの横断幕は希望と誇りの横断幕だといって差し支えなかろうと思う。それに「荒ぶるカワセミのポーズ」ちょっとかわいくない?

(2010.10.12)

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